TwitterがXなんていう検索性もかわいげもない名前になってからもう2年半近く経過するのですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。Webメディアの新着記事、追えていますか……?(最悪な書き出し)
この記事では、しょぼねこ Advent Calendar 2025の5日目の記事として、私、おかゆりぞっとが“いい感じのRSSリーダー”を探していることについて駄弁らせてもらいます。昨日の記事は、nexryaiさんによるマイナーだけどおすすめなLinuxディストリビューション、openSUSEでした。openSUSE、私もとても気になっているのですよねぇ〜!
現在、私は情報収集のためにRSSリーダーをよく使っています。
RSSとは、Webサイトが自身の更新情報を機械可読な形式でサーバー上にまとめる際に使われるファイルフォーマットのことで、RSSリーダーというアプリが定期的にそのファイルをダウンロードし読み取ることで更新情報を自動的に取得するというものです。(RSSには複数のバージョンがあり、また類似した技術にAtomなどもありますが、ここではすべて「RSS」と呼んでしまうことにします。)
RSSは、TwitterをはじめとするSNSの隆盛により一時期は下火になっていた技術ですが、X化に象徴されるTwitterの改悪によって、再び注目を集めていると感じています。Xのタイムラインを見ているだけでは、世の中の動向がわからなくなってしまいましたから……。
と感じていましたが、Google Trendsを見る限り、特に世間でRSSが盛り上がっているわけではないようです。2005年前後の盛り上がりからゆるやかに衰退の一途を辿っています。残念……。
Feedbroしか勝たん!
それはそれとして、RSSはよいものです。SNSでWebメディア専用のタイムラインを構築するようなことが簡単にできます。RSSリーダーによっては、ただ新着記事を取得する以上の利便性を享受できるようになっていることもあります。
私が気に入って使っているRSSリーダーは、Feedbroというものです。これはWebブラウザの拡張機能として実装されたもので、アカウント登録不要で使えるという手軽さと、使い勝手のよい豊富な機能を兼ね備えています。
いくつかお気に入りの機能を抜粋すると……。
まず、リスト形式で記事を一覧表示できます。個人的に記事本文を読むかどうかはタイトルを読んで決めているため、タイトルのみ表示するコンパクトで一覧性の高い表示形式を選ぶことができるのはポイント高いです。
次に、キーボードショートカットが快適です。リスト形式で一覧表示された記事で、Jキーで下のものを、Kキーで上のものを選択し、Vキーを押すことでバックグラウンドのタブで開くことができます。Jキー・Kキーで選ぶのはVim的でよくある実装ですね。Vキーはおそらく「view」の略でしょう。右手はJキー・Kキーの操作で忙しいため、左手で操作できるのは合理的です。
さらに、記事を開いたときにそのタブに遷移することがないことも重要です。前述の通り、Vキーで開かれるのは「バックグラウンドのタブ」です。つまり、Feedbroの記事一覧から視線をそらすことなく、記事を裏でどんどん開いていくことができます。「気になる記事を開きまくったあと、一つずつゆっくり消化していく」ということができるのです。
また、興味のない記事を自動で削除するよう設定できるフィルター機能も内蔵されています。とはいえFeedbroのその機能(Rules)はルールという名前の通り、単なるフィルターではありません。事前に設定した条件に該当する記事を、事前に設定した方法で処理でき、自由度はとても高いです。(URL|タイトル|本文|執筆者)が特定の文字列を(含む|含まない)ときなどに、(通知を送る|既読をつける|削除する|ハイライトする|HTTP POSTを送信する)などの処理を自動で実行できます。
この拡張機能の最大の特徴は、やはりWebブラウザの拡張機能として実装されているというところにあるでしょう。特に私のイチオシの「バックグラウンドのタブで開く」は、拡張機能からしか使えないWebExtensions API固有の機能です(多分)。Web APIにはないため、Webアプリとして実装されたRSSリーダーではこの使い勝手はどう頑張っても実現できません。
そもそもWebアプリではポップアップブロッカーとの兼ね合いで、「新しいタブで開く」すらも実装しにくい状況にあります。ブラクラ対策ですね。Webブラウザの許可リストにそのWebサイトを追加すればなんとかは動かすことはできますが、逆に言えば追加しなければ動きません。WebサービスとしてのUXはどうしても悪くなるため、多くのRSSリーダーは自身のWebサービス上で記事本文まで読ませる形などで実装しています。
Feedbroオワタ……。
さて、この記事のタイトルは「いい感じなRSSリーダーを探さなければならない」です。Feedbroではだめなのでしょうか? ……はい、だめです。
FeedbroはWebブラウザの拡張機能として実装されているがゆえに、同期関連の機能が実装されていないというデメリットを抱えています。致命的なのが、「どの記事には目を通したのか」という既読情報を異なるデバイス間で同期できない点。Webサービスとして実装されたRSSリーダーであれば、Webサービスなのですから、ユーザーごとのアクティビティをバックエンドのデータベースに保存しておくことなど造作もありませんが、Webブラウザの拡張機能となれば話は別です。
(実際にはWebブラウザの拡張機能であっても、Storage APIのsync領域を使えば、同じアカウントでログインしたWebブラウザの間では同期は実装できるのですが、話がややこしくなるため省略します。)
Feedbroには既読同期機能がありません。悲しいことですが、これは事実です。そしてFeedbroは、オープンソースで開発されているわけではありません。悲しいことですが、私がどれだけプログラムを書く時間と労力を提供できても、私が機能を追加することはできません。
さらに言えば、Feedbroの開発はストップしています。記事冒頭でChrome Web StoreのGoogle Chrome向けFeedbroの配布ページを紹介しましたが、実はこのページはGoogle Chromeからアクセスしてみると、次のようなメッセージが表示され、拡張機能のインストールはできません。
この拡張機能は、Chrome 拡張機能のベスト プラクティスに沿わないため、ご利用いただけなくなりました。
この表示はおそらく、Google Chromeにおいて使われる拡張機能のAPIがManifest V3へ移行した一方で、Feedbroが依然としてManifest V3に非対応であるためにサポートを打ち切られたことを意味するものです。Feedbroは機能追加はおろか、メンテナンスさえされていないのです。
(FirefoxではManifest V3に対応していない拡張機能も使い続けることができるため、Firefoxを普段使いしている私はかろうじて影響を受けずにすんでいます。しかしFirefox版も最新バージョンは2024年3月にリリースされたものです。)
どうしたものでしょうか。一から同等の拡張機能を実装するのは骨が折れるでしょう。かといってWebサービスとして提供されるRSSリーダーへ移行するというのも、FeedbroにあったWebブラウザの拡張機能であるがゆえのメリットを捨てることになります。
もう何年も前になるのですが、一時期、Inoreader(Webサービスとして提供されるRSSリーダー)を使っていた頃は、次のような方法で記事を読んでいました。
- Inoreaderで新着記事一覧を開く。
- キーボードショートカットで次々お気に入り登録していく。
- お気に入り登録された記事をブックマークレットでPocketに追加していき、同時にお気に入り登録を解除していく。
- Pocketで読んでいく。
はい。お気に入り機能をある種のスタックとして使いつつ、ブックマークレットによる自動操作でゴリ押しする形です。今はPocketは使っていませんし、そもそもPocketはサービスを終了したという話なので、今やるなら普通に記事URLを開くことになるとは思いますが。Webブラウザのポップアップブロッカーを無効化すれば、できないこともないでしょう。
(Pocketも過去の大改悪で使わなくなってしまいましたねぇ。知らぬ間にサ終だそうで。残念ですが当然でもあるかなぁ……。)
というわけで、私の前にある選択肢は主に次の3つ。
- 同期機能がないことや、メンテナンスすらされていないことには目をつむり、Feedbroを使い続ける。Firefoxを普段遣いしているので今すぐ使えなくなるということはないはず……。
- FeedlyやInoreaderといった代替アプリ(サービス)へ移行する。ブックマークレットを使えばそこまで使い勝手を落とさずにすむかもしれないが……。
- Feedbroを参考に拡張機能を自作する。最も非現実的だが、実現できたら最も安定した方法になる……。
むぅ……悩ましいですねぇ。
ちなみに数日前にFeedlyの使い勝手を探るべく使ってみたところ、普通に使っているつもりだったというのに、Too Many Requestsで締め出されました。
むむむぅ……。
といった感じで、メンテナンスすらされていないFeedbroから移行したいものの、似たような使い心地の代替がない問題について考え、駄弁りました。しょぼねこ Advent Calendar 2025の明日の記事は、昨日同様、nexryaiさんが担当してくれます! 楽しみですね!